アニサキス感染症は大丈夫⁉九州では、なぜサバを刺身で食べられるのか⁉

九州では、新鮮なサバをみつけると、

サバ刺し食べたい・・・

と多くのひとが思います。

一方、関東では、新鮮なサバをみつけると

〆サバ食べたい・・・

と多くのひとが思うでしょう。

僕自身、関東でも九州でも飲食業に従事していましたが、

関東の方が経験が長かったため、九州でさばを扱ったとき、他のスタッフさんが抵抗なく刺身にしている姿をみて、初めは少し抵抗を感じたことを覚えています。

生で食べるか否かには、サバに潜んでいる、「アニサキス症」の感染リスクが関係しています。

本記事は、なぜ関東では生食文化は浸透せず、九州では生食文化が浸透しているのか、考察していきます。

アニサキス症とは

アニサキスは、イルカやクジラなどの海獣類を終宿主とする「寄生虫」です。

幼虫のときはおもにオキアミを食する魚の内臓に寄生しています。

アニサキスに寄生された魚を人間が食べ、生きた幼虫が体内に入ることで発症します。

胃液や胃酸に驚いたアニサキスが、脱出しようとして暴れまわり、胃壁や腸壁に潜り込もうとすることで、

悶絶するほどの痛みが発生しますが、アニサキスを摘出をしない限りすぐには治まりません。

実は「アニサキス」には種類があった

アニサキスとは実は総称で、アニサキス症を引き起こすのは、

アニサキス属のⅠ類、Ⅱ類とシュードテラノーバ属なのですが、この内アニサキスⅠ類には、

アニサキス・ピグレフィー

アニサキス・シンプレックス・センス・ストリクト

アニサキス・シンプレックスC

以上3種がいることがわかっています。

これらは生態に差があり、

特にアニサキス・ピグレフィー(ピグレフィー)は宿主が死んでしまっても、寄生部位である内臓にとどまる事が多いのに対し、アニサキス・シンプレックス・センス・ストリクト(シンプレックス)は宿主の死後すぐに内臓を離れて筋肉内に移行しようとする習性を持つものが多いそうです。

そして最近の研究で、長崎県から石川県の日本海側で漁獲されるサバに寄生しているアニサキスは(ピグレフィー)がおよそ8割、高知県から青森県までの太平洋側で漁獲されるサバに寄生しているのは(シンプレックス)がおよそ8割に上ることが判明しています。

僕たちが刺身として食べる部分は主に筋肉の部分なので、このアニサキスの種類とそれぞれの生態が原因で、日本海側(四国から東北)でサバを刺身で食べると、アニサキス症を発症する確率が高くなってしまい、段々と「生食文化」が敬遠されていき、〆て食べるという形が浸透していったと考えられます。

「九州は新鮮だから生で食べられる」は間違いだった

よく、「九州は新鮮だから」ということを語るひとがいるが、この言葉は間違いではないが正しくない。

なぜならこの言葉には「九州以外は新鮮ではない」という意味も暗に込められているからだ。九州だろうが関東だろうが、新鮮なものは新鮮に食べられる。これは間違いのない事実である。

生食できるか否かは、鮮度ではなく、単にアニサキスの生態の違いで、影響を受けやすいか否かだけの問題だ。

ちなみに、症例は少ないですが、九州でもアニサキス症を発症しているケースもあるので、「九州で食べるサバは絶対安心」ということではありません。

九州のアニサキスは、ピレグフィー(死後内臓内に留まる)が8割という調査結果で、裏を返せば「2割は違う種類」ということです。

また、アニサキス・ピレグフィーも、死後時間が経過すると、内臓から筋肉内に移行することもあるかもしれません。

あくまで「感染リスクが低いだけ」だということは、忘れてはいけないということですね。

イカの刺身が細かく切られている理由

厚生労働省の調べによるとアニサキス幼虫は、サバの他にも

アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生します。

この中で報告例が多いとされているのがサバ、イカ、サンマです。

余談ですがイカの刺身って、細かく短冊切りされていますよね?

この理由は、実は「イカは歯ごたえがしっかりしているから」という理由の他に、「アニサキス症の防止」の意図があります。

アニサキスは体長2~3センチで白く細長い寄生虫で、

刺身にするさい、注意深く目視すれば取り除くことも可能ですが、

身が白くなるイカの場合は目視することができない為、

細かく短冊切りすることで、アニサキスも一緒に傷つけることができる為、もし食べてしまっても発症しないような工夫として施されているそうです。(*^^*)

アニサキスの予防方法

アニサキスを予防するのに有効なのは大きく二つです。

・冷凍

-20℃で24時間以上冷凍すると死滅します。
家庭用冷蔵庫は-18℃の場合が多いので、48時間以上冷凍しましょう。

・加熱

60℃では1分、70℃以上で瞬時に殺すことが出来ます。

この予防方を取っていない場合は、目視やよく噛む(傷にとても弱い)といった方法もあります。

つまり、酢〆でアニサキスは死滅しません。

したがって「〆鯖だから大丈夫」という認識は誤りとなります。

もしアニサキス症を発症してしまったら

アニサキス症の疑いがある場合、早急に病院へ行きましょう。

胃カメラで胃に噛み付いているアニサキス幼虫を摘出する事が最速の治療法です。

基本的には摘出した瞬間に治ってしまうので、我慢せず早く病院にいってアニサキス幼虫を摘出してもらいましょう。

余談ですが、アニサキス症を発症した知人の話では、

腹部に動けなくなるくらいの凄まじい激痛を感じて、

「人生で初めて救急車を呼んだ」と語っていたので、我慢できるひとは殆どいないのかもしれませんが( *´艸`)

まとめ

生食文化は最高ですが、いいものにはそれなりのリスクはつきものですよね。

九州と関東圏のサバ文化の違いは、アニサキスの種類(生態)の違いから関東圏ではアニサキス症を発症する確率が高く、次第に敬遠されてきたということだと思います。

また、「九州は100%発症しない」とも言えないので、

きちんと予防しながら、楽しい生食ライフを過ごしていきましょう( `ー´)ノおしまい

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