居酒屋を運営している時、働いてくれるスタッフに、
コース料理に関して、ひとつだけ徹底してもらっていたルールがありました。
それは、「コース料理をコース名で呼ぶこと」です。
つまり、「コース料理を、値札の金額で口にしない」ということです。
今回は、僕が外食に従事していてよく感じていた、
コース料理だけに生じてしまう「無意識下での失礼な振る舞い」に関して解説していきます。
目次
アラカルトとコースの違い
◇アラカルトとは、
献立表から好みに応じて一品ずつ注文する料理のこと。 日本語としては一品料理、お好み料理とも言う。
例えば、
お客様)枝豆ひとつください。
店員)はい、枝豆がおひとつですね。
お客様)あと、唐揚げもひとつ(一人前)ください。
店員)はい、唐揚げもおひとつ(一人前)ですね。ありがとうございます。
こんな感じでやりとりが進んでいくと思います。
このやりとりはアラカルト注文における、自然な流れですよね。
◇コース料理とは
主に西洋料理の晩餐会などで供される一連の料理の事を指します。 決められた品が、決められた順番で提供されるのが特徴です。
現状はコロナ過により、コース料理の利用自体は激減しているでしょうが、大学生や社会人になると、忘新年会や歓送迎会など、経験してきたことも多いのではないのでしょうか?
特に居酒屋のコース(宴会)にありがちなことですが、
アラカルトとは違い、コース料理には、きちんとした【商品名】がないことが多いです。例えば、
【松・竹・梅】や【豪華贅沢・店長一押し・二次会専用】などなど、
価格を500円刻みなどで、コース内容や料金をみっつの選択肢などから選ぶパターンが多いと思います。
しかし、コース名からわかるとおり、【実際どのような内容になるのか】がイメージできるモノは少ないといえます。
僕はこの、【コース名】が実はとても大切だと思っていて、働いてくれるスタッフや使ってくれるお客さんに
コース名だけを見てみても、どんなコース内容になるのか、イメージがわかない
という印象を持たれないように極力意識してきました。
なぜなら、【コース名】に強い印象やイメージが残らなければ、残る選択肢は【予算・料金】のみとなってしまいます。つまり、
みっつの価格を用意しました。どれがいいですか?
と、まるで値踏みしながら伝えているのと同義ですよね。そして、
お客様)じゃあ、とりあえず真ん中の4000円のコースでお願いします。
店員)畏まりました!4000円のコースですね!
といった形で、当たり障りないであろう中間の選択肢を選んでしまい、
このような会話で着地することとなってしまうのです。
価格でやりとりするという行為は、実はとても失礼な行為である
前述したやりとりは、よく見る光景だし、実際経験したことあるよー✋
なんて方も多いと思います。
この方式は、ほとんどの外食企業が当たり前のように採用していますし、正直使用する側の消費者もそれほど意識していないと思います。
しかしこのようなやりとりは、アラカルトでは絶対に起こりません。
例えばこのやりとりを前述したアラカルトに直してみると
お客様)これ(枝豆)ひとつください。
店員)はい、280円(枝豆)がおひとつですね。
お客様)あと、これ(唐揚げ)もひとつください。
店員)はい、480円(唐揚げ)もおひとつですね。ありがとうございます。
いかがでしょうか(笑)
アラカルトで注文するとき、このように確認、復唱されたら、
この店のスタッフは正気か?(; ・`д・´)
と感じますよね(笑)
しかしこのようなことが「あるある状態」で、コースは【内容】ではなく【価格】でやりとりしていることが大半ですよね!?
だからこそ僕はまず、スタッフの方々から「商品名」である「コースの名前」で伝えることを徹底し、
同時に、お客さんにコースを選んで頂くときにも、コース名で伝えて頂くように工夫し、なるべく価格ではなく内容で選んでいただけるよう、努力することが大切だと感じています。
合わせることは、優しさでもあるけれど
例えば、店舗側はコース料理も内容や価値で訴求していきたいと思っていても、
お客さんには響いておらず、コースを金額で伝えてくる場合も、もちろんあるでしょう。
その場合でも、「合わせてあげることが優しさ」という考えが根付いている僕たちは、
お客様)4000円のコースで!
と言われてしまえば、わざわざコース名に言い直さず
店員)4000円のコースですね!畏まりました!
と、対応してしまうことも多いからです。
だから、いかに先手を取り、【金額を言わせない】ように促せるかもひとつの腕の見せ所といえます。
ちなみに僕のお店のコースは、その「コースの名物」を、そのままコース名にしていました。
簡単な工夫ですが、それでも自然と、スタッフもお客さんも
牛タンのコースで( `ー´)ノ
とか
もつ鍋のコースで( `ー´)ノ
など、それを言うだけで、ある程度みんながイメージしやすいコースとなり、また促すことが出来ていたと思います。
まとめ
コース名は、どこのお店も意外と意識が徹底できていない「盲点」な部分でもあります。
もし心当たりがある方は、この機会に意識してみると、他店との小さな差別化にもなり、それがひとつの大きな価値にも繋がるかもしれませんね(*^^*)おしまい