【社会インフラ】でもある【セブン銀行】の【驚くべきビジネスモデル】とそれを支える【IT技術とテクノロジー】

【セブン銀行】をご存じないひとは、どちらかというと少数派だろう。

それだけ「コンビニのATM」は僕たちの社会インフラとして浸透している。

しかし、不思議に感じたひとはいないだろうか?

僕は「コンビニのATM」内部のお金が、出金しようと思ってもお金が引き出せない「紙幣切れ」も、入金しようとするひとが多すぎて、紙幣がATMに入らなくなる「紙幣溢れ」も、その場面を経験したことが無ければ、その様子を見たこともない。

銀行にあるATMでは、よく「調整中」と張り出され、一時的に使用不可にして、その奥に控えている銀行員さんが対処している場面は何度も見たり、また実際に取引中に機械不良を起こしてしまったことも何度もあるのに、だ。

今回は、もはや「社会インフラ」でもあるセブン銀行が、どのような仕組みになっているのかご紹介していきます。

「セブン銀行」とは

セブン銀行は、2001年に64台のATMから始まりました。

はじめは、同社店舗や全国の提携金融機関を独自のネットワークで結び、「ATMの利用手数料だけで経常利益の97%を稼ぎ出す」というビジネスモデルに対し、金融業界からは「必ず失敗する」など、否定的な声も多かったことで有名です。

なぜなら銀行の主たる収益源は、企業や個人から預かった(集めた)お金を元に、ほかの企業や個人に貸し出すことで生まれる「金利収入」がメインの収益構造だからである。

その収益構造の根幹から違う「入出金における利用手数料のみ」を掲げたのだから、当時は批判を浴びても仕方ないかもしれない。

しかしセブン銀行が発足し、3年目には金融庁から課せられた単年度黒字を達成し、5年目には累積損失も一掃、最高益を更新し続け、直近の2020年には「単体経常収益1200億円」も突破した。(うちATM受入手数料:1087億円)

現在の「セブン銀行」は、銀行業界では数少ない「勝ち組企業」ともいわれている。

セブン銀行の驚くべきシステム管理

どのATMにも、「入出金ができない」などのトラブルが発生した時に、コールセンターに繋がるインターホンが備え付けてあります。

これはコンビニATMも同様で、インターホンをとると、専属のコールセンターに繋がるようになっている。

セブン銀行のコールセンターには、特に最先端のIT技術が散りばめられています。

特徴的なのは、コールセンターの中央に存在する、巨大なモニターである。

空港のフライト情報が表示されている電光掲示板だとイメージして頂ければわかりやすいかもしれない。

このモニターに、全国のATM情報が映し出されている。

「現金カセット」の補充や回収が実施されている最中のATMや、システム障害を起こしているATMが発生時刻順に一覧表示され、さらに時間経過ごとに色で区別もなされる。

コールセンターのスタッフは、このモニターさえ見ていれば「全国のATMの状況」がひと目でわかるようになっているのだという。

コンビニのATMは、裏に控える銀行員もいなければ、ATMは代えもなく一台しかない。サービスを止めないためには、「ATMの監視」が生命線なのである。

こうした切迫した環境が、セブン銀行や提携しているアルソックなどのパートナー企業に知恵を絞らせ、「世界一止まらない(システム障害が起きない)」と評されるATMとなったのである。

入出金速度から「紙幣切れ」「紙幣溢れ」を予測

セブン銀行の社会インフラとしての強みの一つに、店舗と同じ営業時間というものがある。

つまり「24時間、365日」だ。

だからこそ、コールセンターはATM監視センターも兼ねている。

コールセンターからリモートで復旧操作も可能で、システム障害や紙幣切れを極力抑えてきた結果、年間稼働率はなんと99.95%まで高まっているという。

また、万が一止まってしまった場合も、全国に拠点を持つメンテナンスの委託先に、自動的にアナウンスが飛ぶ仕組みもあり、数分~数十分のうちに現場に駆け付けることが可能だ。

しかし、何よりも大切なのは、そもそもATMが止まる事のないように店舗ごとの「入出金の癖」を理解して障害の予兆や紙幣切れを事前に予測し、「先手を打っていること」にある。

特に「紙幣切れ」は代替の効くものではなく、銀行の信用にもかかわる死活問題だろう。なぜなら顧客にとって、自分の預金を引き出せないことなど、あってはならないことだからだ。

まずはこの紙幣切れを防止するために、先にも上げた「入出金の癖」、例えば店舗の立地や顧客層ごとに異なる一万円札と千円札の入出金スピードや、お礼の格納数に応じ、ATMタイプを70種類に区分する。

そのうえでATMに残る現在の紙幣枚数から紙幣切れまでのタイムリミットを3段階で予測し、

現金の補充や回収を委託する警備会社(アルソック)などの店舗巡回スケジュールと照らし合わせることで、可能な限り紙幣切れなどを未然に防いでいるのである。

僕らが普段、不自由なくコンビニでATMを使えているのは、このようなシステマチックかつ合理的に管理、整備された情報技術やテクノロジーのおかげなのは言うまでもない。

セブン銀行は「ATMデザイン」にも徹底的にこだわっている

セブン銀行のATMは、機能面だけではなく、デザインもオーダーメイドを貫いている。

1円単位までコスト削減意識にこだわり、本体価格を「業界水準の三分の一」とまで言われる、300万円弱まで抑えながら、

●ATM内臓カメラ

●混み合い狭い店内を想定し、周囲から操作が見えにくい外観

●キャッシュカードのICチップ読み取り機能

●視覚障碍者向け音声ガイダンス

●外国語での画面表示

●海外発行カードへの対応

などなど、今では「当たり前」となっている機能なども、セブン銀行が「業界初」だった機能は枚挙に暇がない。

「絶対失敗する」と言われたセブン銀行が、現在銀行業界で勝ち組な訳

現在は、度重なる金融緩和により、低金利時代に入っている。

これは借りる側の僕たちにはありがたいが、金利で収益を確保していた銀行業界には「向かい風」だろう。

さらに、日本の国難ともいえる「少子高齢化」は着実に迫ってきている。少子高齢化により、「生産人口」が減少すればGDPも比例して減少することは、僕でも予測できることだ。

少子高齢化の影響は甚大であり、どちらかというと日本の将来はネガティブな要素の方が強いと言わざるを得ないと思う。

企業側も、予め市場が厳しくなる予測が立つならば、積極的に融資を受けて投資していく「攻めの経営」より、厳しい時代に入っても会社を守られるように、キャッシュポイントを高めていく企業も増えていくだろう。

現に企業の内部留保(会社の貯金)は過去最高を更新し続け、2019年には475兆円にも昇っている。

銀行側としては「融資したくても、する相手がみつからない」ことと「融資しても、金利(収益)が低い」という負のスパイラルに入ってしまっていることが、昨今「銀行不況」と呼ばれている実態なのかもしれない。

その点、ビジネスモデル(収益構造)が「ATMの利用手数料のみ(融資に頼らない)」というセブン銀行は、今の時代にとてもマッチしているように思えます。

まとめ

大手メガバンクも2017年に大規模なリストラ計画を発表して、大きな話題を呼びました。

「大手企業に勤めれば安定する」と言われた時代は終わり、ひとつの転換点を迎えているように思いますね。

いつだって大きなイノベーションを起こしているのは、「当時は否定されていたひとや企業」です。

新しい見聞や変化に恐怖心を感じずに、変化するスピードに順応させていきたいですね。

今後コンビニでATMを利用する際、まずはセブン銀行に一礼しましょう(笑)おしまい。

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