年金制度には、強制加入の「公的年金」と任意加入の「私的年金」が存在します。
そして、みなさんが収めている「公的年金」は、「国民年金」を”基礎年金”とした「二階建て」の構造となっています。
目次
公的年金の全体像
「公的年金」の基礎である一階部分が「国民年金」。
この「国民年金」は20歳以上、60歳未満のすべての方が加入しています。
そして、二階部分が「厚生年金保険」となっていて、二階部分は、会社員、公務員等が加入しています。
そもそも国民年金の被保険者には3種類存在しており、
それぞれ第1号、第2号、第3号被保険者として大別されますが、
2階建て部分に加入している会社員や公務員の方などは”第2号被保険者”に当たり、”第2号被保険者”に扶養されている配偶者などが”第3号被保険者”に該当します。
そして、”第1号被保険者”には、主に”自営業者”や”フリーランス”などが該当します。
”第1号被保険者”は、”自分の身は自分で守らなければならない”
2階建て部分の「厚生年金」は、月々の支払額こそ18.30%と、重めの負担ではありますが、
事業主との労使折半(半分ずつの負担)となるので、多少は負担が軽減されています。
また、次に記載のある通り、一階部分のみの「国民年金」受給者と比べ、受給金額も手厚い内容となっています。
自営業や専業主婦など(国民年金のみ)
…約5万6,000円/月
会社員や公務員など(国民年金+厚生年金)
…約14万5,000円/月
出典:厚労省「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
個人的には”第1号被保険者”に当たる、自営業者やフリーランスといった働き方が好きですが、会社員の方も、”自由度が低い”という代償として、総じて手厚い保護がなされており、「会社員は防御力が高い」ことがメリットといえます。
一方、”第1号被保険者”のメリットは
好きにできる。
自由度が高い。
だと思っていますが、これは裏を返すと、
「自分の身は自分で守らなければならない」
と言い換えることもできます。
”第1号被保険者”専用の年金制度
どうしても会社員に比べて公的年金が少ない分、老後の金銭的不安が増大しがちである、自営業者やフリーランス。
実は、そんな”自営業者の為”に、”専用の年金制度”が三つ用意されているんです。
三つの”自営業者専用の年金制度”は次の通り。
①付加年金
②国民年金基金
③小規模企業共済
ひとつずつ詳細に迫っていくと、非常に長くなってしまう為、今回は、これら三つの概要部分をご紹介します。(詳しい内容は、それぞれ独立して順次記事にしていきます)
①付加年金
付加年金とは
⇒第1号被保険者が国民年金に上乗せして受給するための年金制度
☆毎月の国民年金保険料に、月額400円を加算して支払うことによって、将来、国民年金に付加 年金を加算した金額を受け取ることができます。
☆付加年金の額(年額)=付加年金保険料を支払った月数×200円
☆国民年金基金との併用はできない
②国民年金基金
国民年金基金とは
⇒第1号被保険者が国民年金に上乗せして受給する為の年金制度
☆掛金の拠出限度額は、確定拠出年金(IDeCo等)の掛金と合算して、月額68,000円
☆受給が一生涯続く
☆全額所得控除の対象
☆原則中途解約できない
☆付加年金との併用はできない
③小規模企業共済
小規模企業共済とは
⇒従業員が20人以下(サービス業は5人以下)の個人事業主や会社の役員の為の退職金制度
☆掛金は月額1,000円~70,000円
☆掛金の全額が所得控除の対象となる
☆受給時に退職所得or雑所得として課税される
☆加入から20年未満だと元本割れ
概要はこのような形です。
自営業者の生き方に”マッチ”している「私的年金制度」
基本的にこれら三つの年金制度は「将来足りない年金分の補填」が目的にあるので、
原則解約はできなかったり、もし解約できても、元本割れを起こすリスクなども存在します。
一方で、「全額所得控除」の対象になったりするので、どの側面を評価するのかは、意見がわかれる所だと思います。
個人的には、最も良いと感じているのが「選択肢が自分にある」ことだと思います。
上記私的年金はあくまで任意加入の為、
手厚く守られていない分、自分たちで”備えようと思えば備えられる状態”なだけで、選ぶのは自分自身。これこそ”第1号被保険者”の”生き方”にマッチしている環境だと思います。
まとめ
今回は、「自営業者の為の年金制度」の概要の紹介でしたが、また詳しく深堀して、順次更新していこうと思います。
これらの制度をうまく活用すれば、自営業者やフリーランスの弱点だった「防御力」も向上し、将来の不安も和らぐ可能性は高いでしょう。
自分の身は自分で守る。その為にも、選択肢を頭に入れておくことが必要です。
今現在は会社員の方々でも、いつ会社がなくなってもいいよう”備えておく”ことは大切です。
「自営業でも、やろうと思えばいつでもやれる」会社員の方こそ最強ですし、そのような人材こそが今後も生き残っていくでしょう。
他人事だと思わぬよう、何事もアンテナを立て、より良い情報を浴びていきましょう(*^^*)おしまい