トレードオフ【上質をとるか、手軽をとるか】成功企業のジレンマとは⁉

こんにちは☺ちょっぷです☺

今回も、本のご紹介をしていきます。

▽本日ご紹介する本はこちら

トレードオフ~上質をとるか、手軽をとるか~」著者:ケビン・メイニ―氏

序文をビジョナリーカンパニーの著者でもあるジム・コリンズ氏が執筆されていますが、

ケビン・メイナー氏より、ジム・コリンズ氏の方が表紙に大きく掲載されていることだけは違和感を感じました(笑)

ネームバリューが強いからでしょうか?😐

ジム・コリンズ氏の名前を借りずとも、本作の内容は読み応えもあり、良い内容でしたよ☺

本作の内容

本作の中では、”上質さ”と”手軽さ”、それぞれの”優位性”や、”本来の性格”や”本質”を明らかにしていく中で

なぜひと(企業)は、対極にある”上質”と”手軽”の両方を追いかけてしまうのか。

両方を追い求めた先にある結末は、どのようになってしまうのか。

どちらか一方を求めれば求めるほど、どちらか一方を手放さなければならない「トレード・オフ」に関して、有名な企業の失敗談などを含めながら、考察していく内容となっています。

「上質」とはなにか

著書の中で、上質とは、経験+オーラ+個性によるものである。と伝えられています。

◇オーラとは

 ⇒それを所持、または経験していることにより、持ち主の趣味のよさや、収入の高さを周囲にほのめかすようなものとなります。

例えば高級ブランドがわかりやすいですが、所持することにより、次のような価値を得られる。

☆オーラ

⇒誰しもが購入できる価格設定ではない

 

☆個性 

⇒大量生産もされておらず、広告やブランドデザインや質が洗練されている。

 

☆経験

⇒高級店での購入を経て、どんなサービスを受けたのか。また、その高級な商品を実際に体験してどうであるのか。等を周囲に実体験として伝えることができる。

これらを包括したものが「上質」として位置づけられている為、

「上質」とは断片的なものではなく、サービスの体験やそれらを所持し、さらにそれらが実際にどうであったかなどを周囲に伝えることが出来る。という【経験全体】を指すものとなります。

「手軽」とは何か

手軽さとは、望む結果をどれだけ簡単に得られるかという度合いである。

条件として

☆すぐに手元に届くのか

☆使いやすいのか

☆いくらかかるのか

などが焦点となる。

また、どれだけ便利であったとしても、価格が高額であれば、手軽とは言い難く、安価であっても使いにくければ手軽ともいえません。

これらもまたそれぞれのバランスによるものだといえる。

「上質」と「手軽」は水と油?

僕たちは無意識レベルで、この「上質」をとるのか「手軽」をとるのかを選択しています。

例えば、「今日は頑張ったからパーっと外食でもしようか、それともやっぱり我慢してスーパーでお惣菜でも買って帰ろうか」などなど、無意識な判断は日常的に発生します。

この「上質」と「手軽」は特性上相反するものであり、両軸を追い求めても、両軸を極めることは不可能に近い行いであり、

本作の中で、実際に”上質さ”に比重をよせていた企業が”手軽さ”にも手をだして大失敗したり、”手軽さ”に比重をよせていた企業が”上質さ”にも手を出して大失敗したり、といった実例が、数多く記されています。

一流企業の失敗例

本作でご紹介されている「失敗例」の中には、名だたる一流企業も含まれています。

例えば、世界のラグジュアリーブランドの中でも、ひときわ高級感のあった「ティファニー」が、顧客層を増やすことに色気を出してしまい、

新たな顧客層の開拓として、1990年代終わりに110ドル(約12000円)のブレスレットチャームの販売を始めました。

安価なブレスレットは反響を呼び、これまでの顧客層とは違う、中流家庭の10代の女性が殺到したことで、一時的に大幅な売上増に繋がります。

このことに株主達は喜び、「これを継続していこう」という話にもなりましたが、

それは、「ティファニー」がもつ、本来のラグジュアリー感(上質さという優位性)を捨てることを意味しており、事実「ティファニーのシルバーアクセは安物を連想させる」という調査結果もあがり始めていました。

本来、大切にすべきはずの「上質」である為の要素、”オーラ”や”個性”、”経験の価値”が低下することに気づいた経営陣は、誤ってしまったシルバーアクセの値上げに踏み切り、10代の顧客を遠ざけ、本来の”メインターゲット”である上流階級の方々に絞りきり、”手軽さ”からは手を引きました。

もしこの時、経営陣がこのままの状態を継続していたら、ティファニーのもつ「上質なブランド」という価値がどんどん低下し、10代でも所有できるアクセサリーブランドという認識が浸透してしまっていたことでしょう。

そうなると、本来の強みであった「上質なブランド」には、もう戻ってこれなかったはずです。

なぜ「上質」も「手軽」も追い求めてしまうのか

「ティファニー」以外にも、たくさんの企業の失敗例が記載されています。

しかしなぜ、”上質さ”や”手軽さ”という持ち味を活かすことで、すでに成功を収められた企業さえもが、もう一方も追い求めてしまうのか?

その理由には、それぞれの持ち味による特徴の違いが原因だと考えられています。

☆手軽さを持ち味とする企業は「利益率を高めたい」というプレッシャーに直面し、上質さを追い求めてしまう

 

☆上質さを持ち味とする企業は「成長率を加速させなくては」というプレッシャーに直面し、手軽さを追い求めてしまう

”上質さ”と”手軽さ”は、両極端な位置にある。

つまり、どちらか一方の持ち味を活かして成長した企業の”課題部分”は、もう一方の特徴を活かせば、解決できるものが多いのです。

しかし、何度も言うように、それぞれは両極端。

どちらも追い求め、”良いとこ取りしよう”と発想する気持ちは、結果的に「両方とも中途半端な形」となってしまうのでしょう。

成長を追い求めてしまう根本的な背景

あるポジションで成功を収めている企業が、より成長を追い求めてしまう。

その”根本的”な背景としては、

テクノロジーとイノベーションの成長

この要因が最も大きいといえるでしょう。

これらの成長の影響により、どちらの水準も”常に押し上げられて”いきます。

また、それに伴い、消費者もそれぞれの基準を休みなく引き上げていくからです。

その為に、同じポジション(上質もしくは手軽)で成長することと並行し、もうひとつのポジションでも可能性を探ってしまった結果、それぞれ混在してしまい、中途半端な形になってしまうのでしょう。

愛されるか、必要とされるか

実業家のテッド・レオンシス氏は、

上質さ」とは「愛される」ことであり、「手軽さ」とは「必要であることである」

と伝えています。

この表現はわかりやすいなと感じていて、

例えば「上質さ」を感じさせる、プラダのバッグも、デザイナーズマンションも、高級車も、愛されていますが、必ずしも必要性は強くありません。

反して、必要とされる手軽さとは、スーパーやコンビニ、電子レンジや洗剤など、いずれも生活に欠かせない存在です。

このことから、愛されるか、必要とされるか。

このどちらかを意識し、また極めることが、ビジネスを制する為のポイントのひとつといえるでしょう。

これからビジネスを行いたい方は、どちらのポジションが自分のやりたいことや強みにつながるのか、まずはそこから整理するのもいいのかなと思います。

トレードオフ~何かを選択するとは何かを失うことである~

ポジションをとるということは、もう一方のポジションを失うということでもあり、

大きな意思決定には、何かを失うことを伴います。

そして、のことをしっかり理解できている方が少ないと著者は語られており、

意思決定に、「トレードオフ」の理解をもって臨むことが大切であると説かれています。

実例も多く、読み応えもあり、わかりやすく良い内容でもあったので、気になる方は、よかったら見てみてください。おしまい(*^^*)

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