アンパンマンとやなせたかしさん

僕には今一歳の娘がいます。

小さいお子さんがいらっしゃる親御さんはとても共感できると思いますが、

小さい子供はアンパンマンが非常に好きです。

元保育士の妻いわく、小さい子供は

・まるいかたち

・原色ではっきりした色(特に赤)

・左右対称のもの

を好む傾向が強いらしく、まさしくアンパンマンのデザインなどが、

小さい子供たちが好む傾向と一致しているから、興味を抱きやすいみたいです。

僕の娘もアンパンマンが大好きで、自宅のテレビでは、いつもアンパンマンが流れています。

アンパンマンのマーチに込められた想い

みなさんはアンパンマンのマーチを、しっかりと聞いたことはありますか?

僕も最初は深く考えずに娘と歌っていました。

ですが、口ずさめば口ずさむほど、

アンパンマンのマーチの歌詞に込められた強い想いを、聞き流せずには入れらなくなりました。

今回はアンパンマンの生みの親で

歌詞も担当された、やなせたかしさんが、なぜこのような歌詞にしたのか。

また、「アンパンマン」というストーリーに込められた想いに関して、考察していきたいと思います。

参考著書:何のために生まれてきたの? 著者 やなせたかしさん

哲学者も驚いた、アンパンマンのマーチ

ある哲学者のおじいちゃんが、四歳の孫と一緒に新幹線に乗りました。

席に着くなり、おじいちゃんがじっと本を読んでいると、

孫が退屈だからか、次第に歌を歌い始めました。

「なんのために生まれて なにをして生きるのか」

このフレーズを聞いた哲学者のおじいちゃんは

「何なんだ、これは!」と驚いた。

四歳の子供がこんなことを歌っているのはどういうことだと。

調べてみると「それいけ、アンパンマン」というテレビ番組の

テーマソングだったということがわかりました。

哲学者のおじいちゃんは、

「人生の永遠の命題」ともいえるような歌詞を、

子供アニメのテーマソングにつけていることに大変驚いたという。

アンパンマンの初期設定

アンパンマンの初期設定は今のアニメとは少し異なります。

最初期のアンパンマンは人間でした。

世界中の飢えた子供たちに、あんぱんを届ける、ちょっと太ったヒーロー。

そして、最後は許可なく国境を越えたために、撃ち落されてしまうという物語であった。

悲しい結末を迎えてしまう、最初の頃の初期設定は、

やなせたかしさんが考える「正義」に、深く関係しています。

戦争の体験

やなせたかしさんは、戦争経験者です。

絵やデザインを学ぶため高知県から上京し、東京高等工芸学校に進学します。卒業後は製薬会社に入社し、ポスターや広告を手掛けていましたが、当時、日中戦争が拡大し、招集されて中国へ派兵されています。

そして、先の太平洋戦争では、弟さんが亡くなられています。

この経験が、やなせたかしさんの、その後の人生や考え方に大きな影響を与えています。

真の正義とは

やなせたかしさんは、兵隊となって派兵しますが、

中国へ送られるときに

「これは正義の戦いだ」「民衆を救う為だ」と教えられています。

ところが、戦争が終わってみれば、自分たちが非常に悪い奴で、侵略者だったということがわかります。

でも、「あっちサイドが全部いいやつだったのか」というと、そんなこともない。

この時に、「戦争に真の正義はない、ひとによって正義は逆転する」ということを痛感したそうです。

そして考えるのです。「真の正義」とはいったい何なのか?

極限状態に立った時、ひとが求める欲求はたったひとつだけ。

「生存欲求」

これが極限状態で求めるたったひとつの欲求だと言われています。

考えたら当然だと思いますが、

極限状態になってみないと、本当に必要なモノは案外分かり辛いものです。

そして、やなせたかしさんも、

空腹なひとがいれば、そこに一切れのパンをあげるという行いは、

A国だろうが、B国だろうが、どこにいてもそれは「正しい行い」と考えます。

やなせたかしさんは、戦争時、様々な辛い経験をされたとありますが、

その中でも特に辛かったのが「空腹」だったと伝えています。

これが、アンパンマンができるまでの原体験となっているそうです。

正義は、強くない

もし子供が川で溺れていれば、自分も飛び込み助けようとするだろう。

例え子供を助けられたとしても、自分が流されて死んでしまうかもしれない。

内部告発をして、会社の不正を暴いても、

その後世間から「内部告発するようなひとは信用できない」として

非難され、社会的に除外されたりすることだってあるだろう。

正義を行うとは、痛みを伴うことも多いし、強いからできるわけではない。

むしろ、かなしい部分の方が強かったりする。

アンパンマンは、特別な武器を持たない。

誰かを助けるたびに、自分は傷ついていく。

最後は自分自身も助けてもらわないといけなくなる時もある。

それでも元気になったら、また誰か困っているひとはいないかと、飛び回る。

やなせさんは、

正義の行いには、痛みもあるし、

悲しいことも多いということを、物語を通して伝えている。

初期のアンパンマンは、大人向けの絵本だった

初期のアンパンマンの絵本は大人向けに作られました。

でも、全然流行らなかった。

評論家にはけなされ、出版社にも「馬鹿馬鹿しい」と言われた。

「顔を削るなんて残酷だ」と苦情も届いた。

でも、それでもやなせさんは書き続けた。そして書き続けていると、

幼い子供に受け入れられていることが次第に明らかとなった。

そして長い助走期間を経て、子供向けにアレンジされ、今の形となっていった。

希望の歌

やなせたかしさんの生い立ちや、アンパンマンの背景は

色々と考えさせられる内容であったのではないでしょうか?

そして幼い子供は、言葉や内容とは別のところで、

本質的に大切な部分に関しては、きちんと理解できるのかもしれません。

幼い子供にだけは受け入れられ、

本質的な理解ができているということが明らかになったので、

より子供向けにアレンジした今でも、

テーマソングはいまだに、

哲学的で、強いメッセージが込められているのかもしれません。

僕自身、娘と一緒に歌っていて、

歌詞の内容に違和感を感じて調べただけだったんですが

ここまでメッセージ性の強いストーリーだとは思いませんでした。

最後に、東日本大震災が発生した後、

被災地で一番歌われたのが「アンパンマンのマーチ」だったというお話をご紹介して、

今回の記事の終わりとしたいと思います。

※下記に、歌詞全文ものせていますので、良かったら確認してみてください。

東日本大震災の後に、

アンパンマンのマーチを聴きたいというリクエストが放送局に寄せられ、

その後、曲が流されるとさらに多くのリスナーから要望があり、繰り返し放送され、

最終的に、被災地で一番歌われた希望の歌が「アンパンマンのマーチ」であった。

歌詞:アンパンマンのマーチ

そうだ うれしいんだ

生きる よろこび

たとえ 胸の傷がいたんでも

 

なんのために うまれて

なんのために 生きるのか

答えられないなんて

そんなのは いやだ

今を生きる ことで

熱い こころ 燃える

だから 君は いくんだ

ほほえんで

 

そうだ うれしいんだ

生きる よろこび

たとえ 胸の傷がいたんでも

ああ アンパンマン

やさしい 君は

いけ みんなの夢

まもるため

 

なにが君の しあわせ

なにをして よろこぶ

わからないまま おわる

そんなのは いやだ

忘れないで 夢を

こぼさないで 涙

だから 君は とぶんだ

どこまでも

 

そうだ おそれないで

みんなのために

愛と勇気だけが ともだちさ

ああ アンパンマン

やさしい 君は

いけ みんなの夢

まもるため

 

ときは はやく すぎる

ひかる ほしは きえる

だから 君は いくんだ

ほほえんで

そうだ うれしいんだ

いきる よろこび

たとえ どんなてきが

あいてでも

ああ アンパンマン

やさしい 君は

いけ みんなの夢

まもるため

 

 

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