【卵の賞味期限】が日本と海外で【大きく違う理由】

卵は、冬場であれば57日間、生で食べられる

卵の賞味期限、自炊する方は、意外と短いと感じたことはないでしょうか?

あまり知られていませんが、日本における卵の賞味期限は、【夏場に生で食べられる日数】が前提となっている為です。

その前提の為、日本ではパック後、14日間と設定されています。

一方、海外での卵の賞味期限は【加熱して食べること】が前提となっています。

この前提の違いにより、海外では日本では考えられないような賞味期限の長さの卵が販売されています。

ちなみに、海外ではすべての卵の賞味期限が長いわけではなく、日本同様2週間程度の賞味期限設定のブランドも存在します。しかし、同じように陳列されている、異なるブランドの卵には、1か月以上の賞味期限が設けられているものもザラにあるのです。

賞味期限が過ぎても、食べられることは書かれている

日本卵業協会によると、市販の卵に印字されている賞味期限は

「産卵後、一週間以内にパックし、パックしてから2週間後」の日付となっているそうです。

産卵日から数えると21日間(三週間)となります。(保存温度は25度以下が前提)

しかし、レストランや飲食店などが扱う業務用の卵に関しては、温度管理が徹底されているため、

「夏場16日以内」「冬場58日以内」などが、季節ごとに設定されています。

ちなみに、市販の卵パックの表示されている文言を確認してみると、

「賞味期限経過後、及び、殻にヒビの入った卵を飲食に供する際は、なるべく早めに、十分に加熱処理してお召し上がりください」と書いてあります。

これは、食品メーカー側も「賞味期限を過ぎても、加熱調理すれば食べられる」ということを、はっきりと明らかにしているということです。

賞味期限は、2割以上短く設定されている

日本人は基本的に真面目な性格なので、記載されている「賞味期限」を、しっかりと守られている方も多いと思います。

しかし、後述する「消費期限」とは異なり、「賞味期限」は、「おいしく食べられる期限」です。

そして、この「賞味期限」は、本来おいしく食べられる期限よりも短めに設定されている場合がほとんどです。

「賞味期限の設定」は、自社で設定したり、業界団体の定める基準に準じたり、国が定めた「安全係数」を用いたりする場合などがあります。

例えば安全係数を用いる場合であれば、消費者庁はガイドラインに、本来おいしく食べられる基準の0.8の数字を推奨しています。

この推奨値である0.8の数値に準じると、食品企業が「10日間はおいしく食べられる」と判断するとき、賞味期限は「8日間」となります。

しかし、この数値はあくまで推奨値なだけで、義務ではありません。したがって、最終的には企業側の判断に委ねられています。

最終的に委ねられる理由は、ひとくちに食品といっても、生鮮食品から缶詰や乾麺など、ひとくくりにはできず、

また原材料の時点から水分量や鮮度、粒度も画一ではなく、バラツキもあります。そこからさらに加工時の品質変化などでバラツキも起こるため、これらすべてに対応する安全係数を決めることは、不可能に近い為です。

つまり、あくまで安全係数は「目安の指標」に過ぎないということです。

食品メーカーが、賞味期限を短くする理由

お土産用のお菓子を製造する、日本北部のある企業は、過去に「0.3」を掛けた賞味期限で販売していたとして、2008年に農林水産省主催の「第一回食品ロスの削減に向けた検討会」で報告されています。

0.3というと、本来おいしく食べられる期間が10日であっても、僅か3日後には廃棄処分となってしまうことを意味します。

なぜ企業はこれほど短く賞味期限を設定してしまうのか。

その理由は、食品メーカー側も「出荷した後の管理(保存)状況がわからないから」です。

商品を作って出荷するまでは、工場の中が、適切な温度で一定に保たれていますが、ひとたび出荷されてしまえば、その後の保存状況はわかりません。

例えば物流センターやコンビニの倉庫などであれば、適切な管理がなされるはずですが、その確認は食品メーカーにはできないですし、

さらに店頭に並んだ時の保管状況や、顧客が買ったあとの保管状況、また全国で展開する場合、地域により温度も湿度もバラバラになります。

それらすべての条件や起こりうるリスクを考慮し、広く多く商品を提供する食品メーカーは、「さすがにこれなら大丈夫だろう」といった、本来おいしく食べられる期限から、非常に短縮された賞味期限を設けるようになっていくのです。

消費期限は、守らなければならない

前述したように、「賞味期限」には、それなりにゆとりを設けられているので、「アバウトな設定」ともとれます。

これらの理由から、ある程度「賞味期限」に関しては寛大な付き合い方もできると考えられますが、気を付けなければいけないのが、「賞味期限」と類似した、「消費期限」の存在です。

「賞味期限」とは違い、こちらの「消費期限」は守らなければなりません。

◇消費期限

●食品を摂取する際の安全性の判断に資する期限(食品表示法)

●定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗、その他の品質の劣化に伴い、安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日(農林水産省)

消費期限は、賞味期限とは違い、定められた期日を過ぎた場合、食べないようにしてくださいと説明されています。

消費期限が設けられたものは、主にお弁当やサンドウィッチなどの調理パン、お惣菜や生菓子、生麵、食肉などの日持ちがしないものに表示されます。

これらの食品は、日付を過ぎると急速に品質が劣化することが特徴なので、消費期限は守る必要があります。

日本は「食品ロス大国」である

日本の食品ロス量は、612万tです。(農林水産省及び環境省2019年度推計より)

これは、国連WFP(世界最大の人道支援機関)が同年の2019 年に支援した食料支援量約420 万tの1.5倍に相当します。

つまり日本は、「もったいない」と口にしながらも、その一方では、まだ食べられるものを捨て続けている、食品ロス大国でもあるのです。

僕は「賞味期限を守るな」なんてことを言うつもりはありません。

しかし、その「賞味期限」が表示されている背景なども考えた上で、表示されたものを、そのまま鵜呑みにしてしまわないことも、大切なことなのではないかと思っています。

まとめ

僕も居酒屋を3年程度経営していましたので、「食品ロス」に関しては、とても敏感で、思うところはたくさんあります。

ワンピースのサンジではありませんが、食べられずに残されてしまったもの、管理が行き届かず、ダメにしてしまったものを見てしまうと、その食材に対して申し訳なく感じてしまいます。

本当に食べられなくなってしまったものは仕方ありませんが、「賞味期限の背景」に隠れて、本当はまだ食べられるものも、実は多く存在していることを、

今回の記事を通し、少しでも多くの皆様に知って頂ければ何よりうれしく思います。

今回参考にさせて頂いた著書は、「賞味期限」を通して、食品メーカーの裏側や背景なども勉強できた良い本でした。添付しておきますので、気になる方は下記から見てみてください。おしまい。

参考著書:賞味期限のウソ(井出留美氏)

 

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