社会に出て、仕事を始めるにつれ、
財務諸表のひとつであるPL(損益計算書)は、仕事上知識や理解を求められることも多く、勉強を始める方も多いと思います。
PLは、「お店の家計簿」のようなもので、馴染みやすいですし、項目をパッと見ただけでもある程度直感的に理解できるものも多く、最も理解に易い財務諸表のひとつだと思います。
しかし、僕自身がそうだったように、
おそらく簿記を学ばずに初めてPLを勉強しようと思った方は、
”ある項目”で躓くはずです。
それが「減価償却費」。
僕自身も、居酒屋の現場を通してPLを学び始めましたが、
他の項目は「人件費」や「原価(食材)」、「水光熱費」や「家賃」など
直感的にすぐ理解できる項目ばかりでしたが、「減価償却費」という項目で躓きました。
今回は、僕と同じように、簿記の知識がない状態で、PLを学ぼうとした場合、おそらく大多数の方が陥ってしまう「減価償却費」の疑問に関して、少しでもイメージがわくように解説していきます。
目次
減価償却費とは
減価償却とは、企業会計における購入費用の認識と計算の方法。
長期間にわたって使用される固定資産の取得に要した支出を、その資産が使用できる期間にわたって費用配分する手続きである。※Wikipediaより
減価償却費に含まれる”固定資産”とは、基本的に購入価額10万円以上のものや、使用年数が1年以上の長期にわたって使用されるものを対象としています。
逆に、取得価額が10万円未満のものは、「消耗品費」という費用勘定を用います。
飲食店の例
”減価償却費”は”取得価額”を”耐用年数”で割った金額を、月々に割り当てていくものです。
例えば、業務用の冷蔵庫を50万円で購入したとして、耐用年数が5年だった場合、計算式は次の通り。
50万円÷5年₌10万円
このように、年間負担額は10万円となるので、それを月々に振り分けていく。
これらの処理を「減価償却」といいます。
そして振り分けられた金額が、財務諸表のPL上に「減価償却費」として計上されます。
減価償却と残存簿価
減価償却の理解をより深くする為には、固定資産の”簿価”を理解したほうがいいでしょう。
減価償却するということは、「残存する簿価」の減少を意味する。
例えば、業務用冷蔵庫や社用車などは、購入した時点や、年内で価値(簿価)がなくなる(使えなくなったり、乗れなくなる)ものではなく、翌年以降も使い続けることが前提で、使うことで経年劣化(簿価の減少)していくものです。
使い続けるうちに経年劣化していく「価値の減少」に対して、法的にそれぞれ”耐用年数”を設けることで、帳簿上でも価値(簿価)を削っていく作業が「減価償却(簿価の減少)」に当たります。
また、「翌年以降も減価償却していく」ということは、”償却対象”の”固定資産”が、”翌年以降も利益を生む”から、”費用計上する”と考えることができます。
したがって、減価償却とは
「簿価の減少」または「その年に生まれた(償却資産が生んだ)利益の費用」となります。
減価償却の対象
前に伝えたように、
減価償却の対象となるのは、固定資産のうち10万円以上のもので、かつ年を重ねて消耗しても財産としての価値が残り、使用可能な間は売却することで、収入を得ることができるものとなります。
具体的な対象物が次の通り。
✔事業に用いられる建物
✔建物に付属する設備
✔機械装置
✔備品
✔車両運搬具
減価償却費のメリット
減価償却費することで得られるメリットは次の二つ。
✔節税
⇒一括で費用計上することなく、経過的に費用計上することにより、数年間にわたって節税することが可能となります。
✔財務状況が良く見える
⇒多額の費用を算出した初年度は、購入額を全額費用にするわけではないので、その期の費用負担を抑えることができます。
償却なんてまどろっこしいことせず
全額費用計上すればいいじゃーん(゚∀゚)
勉強し始めた当初はこのようにも考えていましたが、
財務状況が良く見えれば、それだけ外部とのやりとり(例えば融資など)もスムーズになるので、とても大切なことだと理解できます。物事には意味がありますね。
まとめ
今回は、財務諸表の勉強を始めるにあたって、一番最初に理解に苦しむであろう「減価償却費」の解説でした。
しくみは簡単なんですが、考え方として馴染みがない為、最初は理解するのに苦戦することと思います。
また、財務諸表の勉強を進めていくと、
PLとCF(キャッシュフロー計算書)の数字が一致しない( ;∀;)
という状況に頭を悩ます場面もでてくるかもしれませんが、
それも減価償却費のしくみがわかれば、割とすんなり理解できていくと思います。
財務諸表の理解は、多少複雑ではありますが、
理解すれば今後一生自分の武器にもなりえると思うので、
この記事が微力でも、苦戦している方の参考になれば何よりです。(*^^*)おしまい