今回ご紹介する内容は北野唯我氏著書「転職の思考法」より、
人生の大事な選択における、パートナーへの相談や説得に関するお話を
一部抜粋しながらご紹介していきます。
目次
「転職の思考法」という、圧倒的名著
ちなみにこちらの本、
仕事をしている全人類に読んで欲しい、
超絶ど推奨の名著です。
「このままこの会社にいてもいいのか」と一度でも考えたり、「転職」の二文字が一度でも頭によぎったことがある方は、心の底から読んで欲しい。
僕は基本、読んだ本は保管せず、すぐに処分しますが、こちらの本に関しては大切に保管していて、棚を整理していたら久しぶりに見つけたので、読み返してみました。
今回は局所的なご紹介となりますので、興味のある方は是非ポチりしてみてください。
前置きが長くなりましたが、本題に入っていきます(*^^*)
本作の流れ
本作は、同じ会社に10年勤めながらも、
「このままで本当にいいのか。」
といった悩みを抱いた
「主人公・青野」を通して、「転職」という人生の岐路にもなりうる大切な決断を、ストーリー仕立てで描いています。
本作のザックリとした流れは次の通りです。
●自分の「マーケットバリュー(市場価値)」の測り方
●会社の「マーケットバリュー(市場価値)」の測り方
●仕事の「寿命」と「ライフサイクル」
●伸びるマーケットの見極め方
●「才能」と「ポジショニング」
●転職の手段
●仕事はいつから、楽しくないものになったのか
どれも大切な内容ですが、今回は転職に際し
葛藤を重ねた主人公・青野が、「転職」を決断した後、
パートナーである彼女に対して、転職の決断を伝えるお話を抜粋し、大切なひとに対する説得の仕方を解説していきます。
転職の決断、パートナーへの説得
紆余曲折し、考え抜いた末に「転職」を決断した主人公・青野は、
最終的にその決断をパートナーに伝えます。
しかし、パートナーである彼女は、今までなんの相談もされずに、重大な決断でもある転職を、主人公・青野が一人で勝手に決めてしまったことに対する不信感や、今後の不安により動揺してしまいます。
そんな彼女に対し、青野は今回の決断を、
ストーリーを通して学んできた合理性を、
「マーケットバリュー」や「ライフサイクル」といった言葉を用いて、必死に伝えますが、
彼女は聞く耳をもってくれません。
●現状の給与から下がる可能性も高い。
●転職活動やその後の就職先で、うまくいかなかったらどうするのか。
●なぜ決断するまでに相談してくれなかったのか。
結局彼女は、「転職」という決断そのものではなく、
その決断に付随してくる不安や
パートナーとしての青野の行動に理解や共感が持てず
結果として、二人は離れてしまうことを選択します。
説得に必要な三つの要素
本作の主人公・青野だけではなく、
周囲の大切な方から反対を受けてしまい、
人生の大切な決断にも関わらず、
最終的には行動することができずに諦めてしまった方も多々存在するでしょう。
では、なぜ理解される方と、そうでない方に分かれてしまうのか。
それには、「しかるべき説得の手順やポイントを踏んでいない」と本作の中で指摘されています。
説得するとは、言い換えれば「不安を解消してあげる」ことでもある。
そして、その為には次の三つの要素を意識することが必要になります。
①ロジック
②共感
③信頼
では、三つのポイントを、一部抜粋しながら詳しく解説していきます。
①「ロジック」
例えば転職する場合、なぜ転職すべきなのかをできる限り説明すること。
妻や子供がいる場合、金銭的な問題も大きな不安材料になるだろう。特に、女性は現実的であるからな。だからこそ、できる限る説明する必要がある。短期的には給料が下がったとしても、長期的には今の会社にいることの方が悪手になる理由を。
しかし、この部分はあくまでロジックな点での説明となる。
したがって、
「言いたい事は理解できたけど、納得はできない」
というケースになる場合もある。だからこそ②が大切となる。
②共感
先ほどの夫婦が、旦那は商社に勤めていて、妻は休職して子育てに専念していたとしよう。旦那は、平日は忙しく夜も遅い。週末にしかまともに家事をしていない。子供の宿題を見るのも、普段の教育も、奥さんがしている。そんなときに、たまたま休みを取った旦那が、偉そうに子供の教育方法に口を出したら、奥さんはなんて言うか?間違いなく、激怒するだろう。
なぜなら、誰よりも実態を知っていて、誰よりも子育てにコミットしているのは奥さんだから。
転職(決断)の場合を見てみると、誰よりも実態を知り、誰よりも会社にコミットしているのは、自分自身となる。
なぜ、転職(決断)が必要で、なぜ、今のままではだめなのか。本人が一番知っている。一番不安なのも、本人だ。
それでもなお、決断するだけの理由があったのだろう。
これは、先の子育てとまったく同じ話。
パートナーが感じるほどの不安だということは、本人の方が、よっぽど不安に感じている。
その不安も含め、相手の心に共感するように伝えることが必要なのだ。
それでも尚、「行動しなければいけない」と感じた理由を、相手にも伝わるようする為には、
必ずお互いが同じレベルで理解できる言葉や比喩を使って話さなければならない。
本作の主人公・青野のように
ただでさえ戸惑っている相手に対し、専門用語(マーケットバリュー)などを用いて伝えようとするのは、さらなる混乱を生んでしまう原因となり、共感を得るのは難しくなる。
③「信頼」
先の共感の話と似通う部分であるが、
結局最後は、本人しか意思決定はできない。
だから、①と②を通じて、信じてもらうしかない。
結局、意思決定とは、いちばん情報を持ち、いちばんコミットしている人間がやるべきことである。なぜなら、本人にしかわからない部分があるからだ。
未来は誰にも予測できない。
だからこそ、最後は自分の意思決定を信じるしかない。
繰り返すが、パートナーにも、①や②を通じて、最後は信じてもらうしかないのである。
パートナーの反対にあってしまい、
「重大な決断」を断念してしまうケースは、だいたい②が欠けてしまっている場合が多い。
ひとは、「何に対して」ついていこうと思うのか
ある有名な経営者が、次のように語っていたことが心に深く残っています。
「ひとは、そのひとについていきたいと思って、ついていく訳ではない。
そのひとが語る「未来」に対して、ついていきたいと思うから、ついていく。」
この言葉こそ、共感の成せる力であり、だからこそ規模が大きくなっていく会社ほど、
「理念浸透」を最も大切にするのでしょう。
逆にいえば、そのひとにどれだけ魅力があったとしても
提示する未来に希望が見出せなくなれば、ひとはついてはこない。
本作の主人公・青野は、全体観でみれば最善の選択だったかもしれないが
その未来を、パートナーの目線では描けず、
パートナーの彼女には、未来への不安や不信感の方が強くなってしまったため
離れてしまったのだろう。
まとめ
「転職の思考法」は、全文紹介したいほど、
余すところなく素晴らしい本だと思います。
今回、とりあげたテーマを「説得」にしたのは
「転職」にしても、例えば「独立」にしても、
人生の重大な決断や、大きな環境の変化には
「大切なパートナー」の共感や理解を得なければいけません。
そして、環境が変化が多ければ多いほど、理解や共感は難しくなります。
この点も、「行動したくても、行動できない」という要因を占める、大きな部分でもあると思い、今回取り上げました。
ひとは非合理な生き物で、最後は感情で動くものです。
説得に難航している場合、
相手の心に共感できているか。
また、どんな未来を描いてあげられそうなのか。
その未来を、信じてもらうためにはどうすべきか。
この部分を考えると、少しは光が見えてくるかもしれませんね。
この本は、本当に読んで欲しい本のひとつです。
まだ読まれたことがない方は、この機会にぜひ、読んでみてください。おしまい
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