【小規模企業共済】個人事業主や会社役員の為の退職金制度

以前から引き続き、ご紹介してきた”自営業者専用の年金制度”も、今回で最後となります。

関連記事はそれぞれ飛べるようにしておきますので、気になる方は確認してみてください。

▽第一号被保険者の為の三つ年金制度

「第一号被保険者」専用の年金制度【自営業者の為の三つの年金制度】概要編

▽”付加年金”に関して

【知っておくべき”付加年金”】「第一号被保険者(自営業者)」専用の年金制度

▽”国民年金基金”に関して

【知っておくべき”国民年金基金”】IDeCoと国民年金基金の違いを”わかりやすく”解説

本記事では、三つの年金制度の最後にひとつである”小規模企業共済”に関して解説していきます。

小規模企業共済とは

小規模企業共済の概要は次の通り。

小規模企業共済

⇒従業員が20人以下(サービス業は5人以下)の個人事業主や会社の役員の為の退職金制度

☆掛金は月額1,000円~70,000円

☆掛金の全額が所得控除の対象となる

☆受給時に退職所得or雑所得として課税される

☆加入から20年未満だと元本割れ

小規模企業共済は、規模の該当する役員や個人事業主が退職等で事業をやめた場合における、生活の安定や、事業の再建を図るために、予め準備しておく共済制度です。

会社勤めの方や、公務員の方々とは異なり、自営業者や会社役員の方々は、基本的に退職金など支給されるものではないので、それらの方々の為に設けられた”退職金制度”といえる。

小規模企業共済のメリット

小規模企業共済のメリットは次の通り。

 ☆掛金が全額所得控除可能

⇒前回ご紹介した”国民年金基金”や”IDeCo”同様、小規模企業共済も全額所得控除の対象となります。

 

☆掛金の額を細かく調整可能

⇒1,000円から70,000円まで、500円単位で変更可能。また、一年に一回などの規約もない為、柔軟性が高い

 

☆掛金の前納・払込の一時中止などもできる

⇒掛金は前納することも可能です。

前納した場合の試算は下記参照。

 

☆貸付制度が利用できる

⇒加入者は、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度を低金利で利用することができます。
また、即日貸付けも含め、さまざまな種類の貸付け制度が設けられています。

◇「前納減額金」の試算例

※前納減額金の計算式

 掛金月額 × 0.0009 × 前納月数の累計 = 前納減額金

例えば今月は5月なので、掛金を1万円として、

当月分の5月から1年間分”前納”した場合が下記。

 

6月+7月+8月+9月+10月+11月+12月+1月+2月+3月+4月=73か月

 

1万円(掛金月額)×0.0009×73カ月(前納月数の累計)=657円

 

このように、僅かな金額ではありますが”前納”により”657円”がキャッシュバックされます。

小規模企業共済のデメリット

小規模企業共済のデメリットは次の通り。

☆加入期間20年未満は元本割れ

⇒基本的な共済金の受取は、請求事由による”共済金の種類”で変わります。そして、小規模企業共済を取り扱っている中小機構HPにも

”掛金納付月数が、240か月(20年)未満で任意解約をした場合は、掛金合計額を下回ります”

と、しっかり記載があります。

”国民年金基金”や”IDeCo”と異なり、原則・解約不可ではありませんが、短期解約した場合は”元本割れ”は受け入れなければいけないでしょう。

 

☆加入期間12カ月未満の掛捨てリスク

⇒小規模企業共済の納付月が12カ月未満の場合、共済金が受け取れず、掛捨てになってしまいます。

※契約者の責任ではない「やむを得ない理由」での滞納はこの限りではない。

 

☆受取時に課税

⇒掛金は全額所得控除の対象となりますが、受取時には「退職所得」もしくは「雑所得」として課税対象となります。

※「退職所得」に税金をたくさんかけてしまうのは酷なので、他の所得と異なり、退職所得は受取額の50%が課税計算されるようになっているので、税負担は多少は軽減されます。

小規模企業共済は加入すべきか

小規模企業共済も、大枠の仕組み自体は”国民年金基金”と同じようなものとなっています。

掛金設定の柔軟性や、退職所得として受け取るのか、年金として受け取るのかの違いなど、細かな違いは存在しますが、いずれにしても長期的な資金ロックが前提にあります。(小規模企業共済は資金ロックではないが、加入期間20年未満だと元本割れが生じるため基本的には”資金ロック”と同じ考え方)

また、掛金は全額所得控除可能になるため、目先の節税効果は非常に大きなものとなりますが、受取時に退職所得として課税の対象となるため、「支払う税金の先送り」という見方もできます。(退職所得として課税される場合、税負担は軽くなります)

これらのメリット・デメリットを比較し、目先のメリット(所得控除など)ばかりでなく、長期的な考えの元に加入すべきかどうかを判断する必要があるでしょう。

個人的には、”国民年金基金”同様、僕自身は加入予定はありません。(理由も国民年金基金同様です)

まとめ

”第一号被保険者”専用の年金制度として、”付加年金”、”国民年金基金”、”小規模企業共済”の三つをご紹介させて頂きました。

これらの制度のように、上乗せ年金は多彩に存在します。

しかし、何より大切なことは「まずは知ること」だと思います。

知らなければ「比較」も「検討」もできません。自身の選択肢の土台に乗せられるよう、「情報をとりにいく姿勢」こそが最も大切となるでしょう。

こちらのブログでも、今後も少しでも為になるような記事を更新していきますので、

みなさんの情報収集の一助となれば幸いです(*^^*)

長くなりましたが、「第一号被保険者専用の年金制度」のご紹介はおしまい(*^^*)

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