個人的には飲食店で働くことは、義務教育の必修科目に組み込んでもいいくらい、学びがあると思っています。
なぜなら飲食店は、普段の生活の中の、一番身近なエンタメであるとともに、何よりも「空気を読むことの大切さ」を学ぶことができるお仕事だからです。
今回は、空気を読む力を養うことができる飲食店での、具体的な事例をご紹介していきましょう。
目次
空気を読むとは
◇空気を読む
場の空気を推察する。
特に、その場で自分が何をすべきか、すべきでないかや、
相手のして欲しいこと、して欲しくないことを憶測して判断する。
※国語辞書
日本人に必須とも言われているこの能力。
「飲食店で働くこと」がこの能力を養ううえで効果的な理由を、具体例を含めてあげていこう。
飲食店は「空気を読まない」反面教師の巣窟
飲食店は、空気が読めるお客さん、そして残念ながらあまり空気を読まないお客さんがハッキリ見て取れる。
実際に「空気を読め」と言われても、「そんな気の利いたことできる自信ないな」と感じるかもしれませんが、
逆に反面教師を例に出して、「真似したらだめだぞ」と教えられたら
「確かに、ああはならないようにしよう」と感じると思います。
「勝利したければ、敗北するな」ではありませんが、
空気を読まないような行動を防ぐことで、徐々に空気が読めるようになると思うので、空気の読めない行動の具体例が如実に表れる飲食店は、空気を読む訓練にうってつけの環境なのです。
飲食店は「ワンウェイ・ツージョブ」が基本
料亭や高級ホテルは別として、
一般的な飲食店や居酒屋では、多人数に対して少人数のスタッフで、接客やサービスを行う必要があります。つまり、
「ワンウェイ・ツージョブ」が基本です。
これはひとつの行動で、ふたつみっつの仕事をするという意味で、
例えば料理の配膳に行くときに、
道中のテーブルに空いているお皿やグラスがないかを確認して、
料理配膳後に先ほど確認したお皿やグラスを回収し、
ついでにドリンクの追加注文も伺う
といった形で、なるべく効率的に動くことが求められる。
このように効率的に動くことが求められる飲食店において、空気を読まないお客さんは厄介な存在なのである。
ケース①「度重なる追加注文」
例えば、何人かのグループで、ドリンクを注文するとき、「空気が読めるグループ」は一度の注文になるべくまとめて注文してくれます。
お客)レモンサワーひとつと、、、あと、そことそこのグラスも空きそうだけど、同じので良い?
みたいな。
忙しい時や、スタッフの人数が足りていないときにこのように配慮してご注文を頂くと、本当にありがたく感じます。
お店)はい‼畏まりました‼‼‼(アザっス(;´∀`)‼‼‼)
こんな感じです。
しかし、空気を読まないグループは、忙しい時や、人数が少ない時でもお構いなしです。
お客)レモンサワーください。
お店)はい。畏まりました!
お店)こちらレモンサワーです!(ドリンク提供)
お客)あ、俺もレモンサワーひとつください!
お店)あ、はい!畏まりました!
(再度ドリンクを作る)
こちらレモンサワーです!(ドリンク提供)
お客)僕ウーロン茶ください!
お店)はい。畏まりました!
(・・・。( ̄д ̄))
お店)(再度ドリンクを作る)
こちらウーロン茶です!(ドリンク提供)
お客)僕にもウーロン茶ひとつ!
・・・はい。。
(こ、こいつら・・まじか・・・。(; ・`д・´))
お店)(再度ドリンクを作る)
ウーロン茶です。(ドリンク提供)
お客)あ、お冷も人数分もらえます?
お店)・・・ㇵィ
(一回一回言ってくんなーーーー‼まとめろヴォケーー‼😡😡😡)
みたいな形になります(笑)
ギャグみたいな話ですが、本当によくある話です。
ケース②「これ、おかわり」
小さめな店舗や、お客さんが少ない場合でもない限り、スタッフがお客さんから伺っている注文数は、意外と膨大な量となっています。
また、頼んだスタッフが、いつも同じスタッフとも限りません。
しかし、空気を読まないお客さんは
お客)すいません!これ、おかわりで!
お店)・・はい。畏まりました。
(なに飲んでるか知らないけど・・(;´Д`))
みたいな。
スタッフによっては、何を飲んでいるか聞き返すのが失礼だと感じて、
注文を受けた後、その場で履歴を調べるひとも多いです。
そうこうしながら急いで履歴を確認していると、お連れのお客さんからも
お客)じゃあ俺のも、コレ、同じので!
なんて言われたりします。
そうなったらプチパニックです(笑)
もちろん、ハコの大きさや、スタッフやお客さんの人数など、条件次第な部分もありますし、
いつも飲む物が決まっている常連さんや、仲良しのお客さんなら、それで通じることも多々あります。
しかし、一見さん(初めて来店したお店)として注文するならば、スタッフがよほど優秀でもない限り困惑される可能性も高く、また結果的に無駄な時間も発生してしまうので、
毎回きちんと商品名を伝えてあげるのが「配慮」だと思います。
ケース③行きがてら注文
お客さんが複数人で一緒に飲食を楽しんでいる飲食店の場合だと、
そのお客さんすべてを覚えるのは大変なので、基本的に「注文を受けたテーブル番号」で伝票を飛ばします。つまり、
●誰が何を頼んだか
●誰がどの卓にいるのか
そこまで記憶する必要はありません。
したがって、トイレなどでお立ちになった際に
お客)僕のテーブルにウーロン茶持っていっといてください
みたいなこと言われても、
お店)・・・畏まりました。
(いや、どこにだよ(=゚ω゚)ノ)
となります(笑)
もちろんこれもハコの広さ、お客さんの人数などによって変わるので、あくまでケースバイケースな部分もあります。
僕も、新宿の100席以上のお店に勤めていた頃、この言葉を言われ、
(なんでこのひとは、これだけ広い店内で、スタッフが当たり前のように自分の居場所を知っていると思っているんだろう)
と不思議に思っていました( ̄▽ ̄)
結果、ウーロン茶をもってトイレ付近で待っているという謎の状況が生まれていました(笑)
自分のことを、自分と同じように見てくれているという錯覚
思春期にニキビができてしまい、
もう学校にいけない。誰にも見せられない。
なんて思ったことは、みんな一度はあるのではないでしょうか?
しかし、自分と同じくらい注意深く自分のことを見ているひとは、ほぼいやしない。
単なる自意識過剰。
飲食店では、思春期の頃のような行動が、謎に多々発生する、おもしろい環境だと思います。
スタッフの応対が悪い理由は、あなたにあるのかも
「おもてなし」や「サービス」は、相手の対応次第で良くも悪くもなるといえる。
(▽下記記事参照)
効率の悪い注文や、空気の読めない行動を繰り返していると、注文を受けるスタッフも
このグループは、
本当に空気が読めないひとたちだな・・(*_*)
と疲れてきます。そうなると次第に態度や表情に表れてしまい、
最終的にお客さんも
スタッフの対応が悪い( ̄д ̄)
と感じて気分を害してしまうこともあるかもしれません。
しかし、そのブーメランは、自分たちが投げたものだとは気付いていません。
結果的に空気を読まないひとたちは、どこで食事してもあまりいい対応はなされないでしょう。
まとめ
今回は、スタッフ目線で、飲食店における「空気を読まない具体的な行動パターン」をあげてみました。
まだまだ他にもありますし、逆にお客さん側からみて、「ないな~」と感じるスタッフの行動もたくさんあると思います。
しかし、個人的にすごく良いなと思うのは、飲食店を経験したことのあるお客さんは、お客さんとしても、非常に素敵なお客さんであろうとしてくれます。
理由はおそらく、スタッフとして働いていた頃、空気を読めない行動をされた時、その行動をきちんと反面教師として、真似しないよう自然と意識することで、空気を読む力を養っている証拠だと思います。
そして、それはそのまま「場の空気を推察する力」「他者へ配慮する力」になるでしょう。
飲食店は誰しもがコミュニケーションをとり、人と人とを繋ぐ素敵な空間なので、そこで誰よりも空気を読むことができるなら、そのひとの魅力はそれだけで何倍にも高く見えるでしょう。
このように、接客や商売の「イロハ」だけでなく、ひととしても何段階も成長できる要素が凝縮されている飲食店は、本当に魅力的なお仕事だと思います。
飲食店店員が義務教育の必修科目になることを心からお祈りしています( *´艸`)おしまい