僕は外食産業に六年以上携わっていて、後半の三年間は独立して自分でお店を運営していました。
外食の大切で素敵な仕事の一つに、「他店舗の視察」があると思います。
外食産業に従事していると、「外食という趣味」が仕事化するので、自然とたくさんのお店を巡るようになります。
したがって一般的な方よりも多くのお店を知っていますし、またどこのお店も勉強になる点は多く存在します。
しかし、同業の方と一緒に視察に訪れたとき、
ああ、このひとは伸びていくんだろうな~
ああ、このひとの見方は損しているな~
と、視察を活かすひとと、無駄にするひとにわかれてしまうように感じます。
今回は外食店舗に勉強にいくときの、繁盛店の視察の大切な姿勢や、わかれてしまうふたつのパターンについて解説していきます。
目次
繁盛店視察で大切な、たったひとつの考え方
他店に視察に伺うとき、たったひとつの大切な考え方。それは、
ネガティブな側面はすべて無視する
ということです。
理由は、完璧なお店なんて存在しないからです。
それを理解せずに、
これだけ繁盛しているとは、一体どういうことなんだあ?どれどれ~
というように、「評論家目線」で他店に視察に行ってしまうと、良いことはありません。
なぜなら、「勉強」という本意が薄くなって「減点法」をとってしまうからですね。
この「勉強する姿勢」が薄くなってしまうひとと、ひたむきに勉強しようとするひとでは、前述したようにその後の成果が変わってしまいます。
ポジティブな視察、ネガティブな視察
他店に勉強にいくときに、どうしても「ポジティブな視察」をする方と、「ネガティブな視察」をする方にわかれてしまいます。
ポジティブな視察とは
👍お店の顔(入口デザイン)や看板
👍店内の導線や雰囲気
👍料理の盛り付け・味付け
👍整理整頓・清掃
👍スタッフの目配り気配り心配り
👍告知や訴求のデザインやアイキャッチ
などなど、すべてにおいて「良いな」と感じる箇所を探しだし、ひとつでも多く自店に活かそうとする姿勢で、これはポジティブな視察と言えると思います。
対してネガティブな視察とは
前述した項目が、基本的に「減点法」となってしまい、
この料理の味は、イマイチだな。
とか
ここはいいけど、ここがよくないな
みたいな形で、結果、自分のお店の方が良いと思える箇所を導き出してしまったり、
「勉強」させて頂くはずの視察が、
「辛口評論家」のようになってしまって、
会計を終え、気付いたらそのお店で「勉強できたこと」や「気付きを得たもの」が、特にありませんでした。
みたいな形となってしまうことが多い傾向にある。
これがネガティブな視察だと思っています。
ネガティブな視察は時間と経費の無駄である
僕も経験上、他店に視察にいった際に、自分のお店を肯定してしまいそうになる気持ちは、理解はできます。
しかし、そのようなネガティブな視察は、時間と経費の無駄遣いだと思っています。
なぜなら、そのお店を視察したということは、実際にそのお店に行きたいと自分自身が感じた「何かしらの動機」があるはずだからです。
その動機とは、例えば「販促」や「訴求」なのか、「アイキャッチ」(お店の見せ方)なのか、「お店の評判」なのか、「料理の質」か、「手軽さ」や「使い勝手」か、はたまた「ひと」の魅力なのか、
理由や内容は様々ですが、「動機」は必ず存在します。動機が無ければ行かないですもんね。
そのうえで、「勉強できるものが無かった」というのは、辻褄が合いません。
良くない側面は「無視する」と決める
ぶっちゃけてしまうと、
なるほど、このお店の強みは【立地】だな!
と気付くお店もあります。(笑)
でも、それも大切な気付きなんです。
正直外食は設置産業なので、お店をどこに設置するかが、その後の業績を大きく左右するのは当然のこと。
そのお店は「立地が強み」で、自社も同じように物件開発部門に自信や優位性があれば、
自社でも再現性は高くなるでしょうし、逆にその部分が強くないならば、そのお店と同じ戦略はできない(失敗確率が高くなる)ということになります。
つまり、視察を通して成長する為には、持ち帰るモノを取捨選択しなければならないので、良くない側面を見ている暇なんてありません。そこは完全に無視でいいと思います。
料理の質が高ければ、繁盛するのか?
ネガティブな視察は、特に職人気質の方に多く見られる傾向にあります。
しかし、繁盛する理由が、職人が拘る【料理の質】だけで決まるなら、職人さんのお店は【全て繁盛店】となります。
でも現実にある繁盛店は「全員職人か?」と言われると、むしろ逆の方が多かったりもします。
料理の質がどれだけ高いか?職人がきちんと作っているか?
そんなこと、職人以外(消費者)は気にしていないということです。
ある社長との会話の中で学んだ、【謙虚且つ貪欲な姿勢】
最後に、当時勢いよく10店舗以上展開していて、ご縁のあった外食経営者にお話を伺おうと、
勇気を出してご飯にお誘いした時のお話をご紹介します。
その時僕は、いろいろとお話を伺い、「勉強させて頂こう」と思っていました。
しかし蓋を開けてみると、僕はその社長から、終始質問攻めにあっていました。
その度に、
その話、勉強になるな~!
もっとその話、聞かせてもらえないかな?
こんなことは、どう思うかな?
このお店のここの部分。ホントすごくない?
あ!今あのスタッフこんな動きをしたね!どうゆう意味があるのかな?
などなど、とにかく「謙虚な姿勢」と「学ぶ意欲」が一貫して強く、
当時独立したてで、右も左もわかっていなかった
僕のような経験も実績も乏しい人間との会話の中でも、
「何か得るものはないか」と貪欲に話をふられ、さらに伺ったお店の良いところもアンテナを立てて素早く的確に察知していました。
僕はお話を伺いたかったのに、自分ばかりが話してしまっている状況に、
聞く側のはずだったのに、完全にペースを掌握されてしまっている(・・;)
と情けなく感じながらも、その姿勢にひどく感心させられ、またその「姿勢」こそが何より勉強させて頂くことだと感じました。
そしてその社長も、良い側面だけを見続け、ネガティブな話題は一切でてきませんでした。
そして礼儀(勉強代)として、そのお店にたくさんお金を落としていました。(笑)
まとめ
ひとは周囲のひとから刺激を受けて成長しますが、それはお店も同じですよね。
よりたくさんのお店から、素敵な刺激を頂くほど成長していくと思います。
思考や感情は伝染するので、ポジティブなモノの数が多ければ多いほど、より良い循環になっていくと思います。
改めて外食は最高だと思います(*^^*)
僕もそのうちまたやるぞー(*^^*)おしまい