眠気に影響を与える二つの要素

明日の予定がいつもより早く、

「今日はそのぶん早く寝ないと、明日起きれないぞ!」なんて日もあると思います。

そして、勢い込んで床についてみたは良いものの、結局いつも寝ている時間まで、眠気がこなくて寝付くことができなかった。

こんな経験、みなさんもあるのではないだろうか?

本記事では、「眠気の仕組み」について、考察していきます。

眠りには、二種類の睡眠物質の存在が影響している

眠くなるには二つの要素が影響しています。

地球には24時間というリズムが存在するように、人間にも、いわゆる「体内時計」といわれるリズムが存在している。

ひとつめは一般的に「体内時計」で認知されている、概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれるものである。

この概日リズムの周期は、現在「24.2時間」といわれ、人間はこの概日リズムを元に約16時間程度起きていられます。

また、「概日リズム」は内在的に構成されるものであるが、外部要因の影響(光や音や温度)を受けることで修正されることも特徴のひとつ。

ふたつめは、「睡眠圧」で、これは起きた時点から蓄積し続ける「眠気」である。

睡眠することによって「睡眠圧」は放出されるが、質の低い睡眠や、充分な時間が確保できない場合、睡眠圧が完全に放出されないので、慢性的な眠気を引き起こす原因となる。

また、このふたつの「睡眠要因」はそれぞれ独立している。

徹夜明けでも眠気が一周回って解消される理由

「概日リズム」「睡眠圧」は独立している。

みんなも「徹夜明けで、とても眠い状態が続いても、ある瞬間から眠気が解消した」という、「一周回った」経験はないだろうか?

これは、徹夜明けで眠気が襲ってきている場合でも、朝日などの外的要因により、「概日リズム」の方が修正されることで、一時的な「眠気の解消」がなされることがある。

この現象が「一周回った」時の眠気が解消された状態の正体である。

しかし、「睡眠圧」自体は放出されておらず、独立して蓄積され続けているので、「概日リズム」が修正され、一時的に眠気が解消された状態に戻っても、時間が経過すると再度猛烈に眠気が襲うのはこの為である。

寝る直前は、眠くない?

前章で解説した「睡眠圧」は、起きた時点から眠るその瞬間まで、「蓄積し続ける眠気」といえる。

床に入り、眠りにつくまでの平均入眠時間は、約7分~8分である。「寝つきが悪い」と感じているひとでも入眠平均時間は約10分前後である。

しかし僕たちは、「寝たいけど、なかなか寝つけられない」という経験をしたことがあるはずだ。

これにはどんな秘密が隠されているのだろうか?

イスラエルの睡眠研究科ペレッツ・レビー氏による実験で、

「通常の就寝する時間から、二時間前あたりまでが、もっとも眠りにくい」という予想外のことが明らかとなったのである。

入眠直前に発生する「フォビドンゾーン」

この実験を日々の生活に当てはめれば、毎日午後23時に就寝する習慣があるひとが、21時から23時までの2時間は一番眠りにくい時間ということである。

このように、入眠直前に脳が眠りを拒否する「フォビドンゾーン(進入禁止域)」というものが存在することが明らかとなったのである。

1986年に同氏が発表した理論で、いまだその謎自体は解き明かされていないが、ほかの研究者も複数確認している現象である。

考えられる仮説としては、睡眠圧に対抗し覚醒状態を維持する機能がなければ、睡眠圧が上昇したとしても、スイッチが切れたように眠ってしまうことになるので、人間の一種の防衛本能として備わっていると考えられている。

早く起きる為には、いつも通りに寝て、早めに起きる

フォビドンゾーンを理解すると、対策はシンプルで簡単である。

要は、いつも通りに寝て、起きる時間を早くするだけでいい。

なぜなら最も大切な「質の高い深い睡眠」は、入眠直後の1~2時間の間に享受できることが解明されている。また、起床前の睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠の間隔も短く、徐々に脳は起きる準備を始めているので、起床時間を一時間早めたとしても、覚醒時のパフォーマンスはそれほど減少しないといえる。

「後ろにずらすのは簡単であり、前にずらすのは困難」

寝たいけど寝つけない理由は、この「睡眠の性格」によるものといえるだろう。

まとめ

眠気の要素は「睡眠圧」と「概日リズム」という、それぞれ独立したふたつの機関の働きによるものだとご理解頂けたと思う。

また、概日リズムを狂わさないためにも、入眠時間も、なるべく統一したほうが望ましい。

睡眠における脳科学の分野は、まだまだ解明されていない部分も多く、「ひとつのブラックボックス」とも呼ばれているが、人生の三分の一もの時間を睡眠に投資するからには、しっかり理解したうえで睡眠に臨みたいものである。

この記事が少しでもみなさんの役に立ち、少しでも良質な睡眠時間を入手できたなら、これ以上嬉しいことはないです。

参考著書:スタンフォード式最高の睡眠

著者:西野 精児さん

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